ある日の土曜日の昼
彼と映画を観た帰り道
水上公園の橋に差し掛かる手前の道を貴賓館の方へ歩いていたとき
彼が口を開いた。
「ここのエリア、久しぶりに来たな。こんな綺麗になっていたなんて」
水上公園から福岡県公会堂貴賓館にかけての空地は西鉄が整備をして、買い物客が集うスペースになっている。
お店も次々とオープンしている人気スポットだ。
すると彼が何かに気が付いた様子で
後ろを振り返った。
「ん?あの黒い建物はなんだろう?」
私もおなじく振り返り建物をみると、
先日両親が話しをしていたお店だということを思い出した。
「あのお店!うちの両親が先日何人かのお友達と食事した!って言ってた
ワインがたくさんあるみたい」
「お父さん、ワイン好きだった?」
「最近すごく好きになってきたみたい。だからここのお店の品揃えに感心してたよ!」
そう言うと彼は興味を持った様子で言った。
「ちょっと行ってみようか」
両親から話を聞いて自分自身も行ってみたかった私は喜んで返事をした。
お店に入ると
ウエイターさんが迎えてくれた。
「いらっしゃいませ」
予約していないのですが、、、と言った彼にウエイターさんは
笑顔で大丈夫です、と言い、席まで案内してくれた。カウンターに座った。
まずは料理を決めようとメニューを開いた。
てっきりフレンチ料理だと思っていた私は、思わぬメニューに驚いた。
「フレンチ料理だけかと思ってた!鹿児島県和牛の炭火焼もたべれるなんて嬉しい!
シェアしても大丈夫ですか?」
もちろんですとウエイターさんは笑顔で答えてくれた。
彼は追加で、フレンチらしいテリーヌとリエットを頼むとウエイターさんにワインのお勧めもらえるようオーダーをした。
「かしこまりました。テリーヌも炭火焼も川野シェフの自慢料理でございます。
ワインはわたくしソムリエが自信を持っておすすめするものをご用意します。」
とそう答えたソムリエは続けて
お料理がくるまでと、地下にあるワインセラーを見せてくれると言う。
喜んで返事をした私たちは、案内されるままに
階段手前の鉄格子の扉を開け、地下へ入っていった。
地下へ続く階段を進むとふと空気が変わった。
先導していたソムリエさんが口を開き
「こちらが当店自慢のワインセラーです」と言った。
個室に入ると左側のガラスの向こうにはワインセラーというより部屋として存在している。
ずらっと並ぶワインボトルに
見とれていると、ソムリエさんが続けた
「先日格付け61シャトーを取り揃えました」
その言葉に彼は驚き声をあげた。
「すべて!?それってすごいことですよね?」
ソムリエは少し頭を下げ
「はい、ボルドーワイン委員会公認のお店なのです。日本でも珍しいと思います。」
と答えた。
彼は少し考えたような顔をすると
ここの個室でも食事はできるのかと聞き、予約制ではあるが可能というソムリエの返事を聞くと私をみて言った。
「今度ご両親も一緒にここで食事しよう」
最近ワインにこっている父のことだ、喜ぶ顔が目に浮かぶ。
「ワイン眺めながら食事ができるなんて、お父さん大喜びだわ!」
私がそう答えると、ソムリエが早速予約承りますね!といった。
「そろそろお料理が提供できる時間です。」というソムリエの言葉で
私たちは、地下のワインセラーを後にした。
私は思わず嬉しくなって
「楽しみね!」と、彼に微笑みかけると彼も「そうだね」と言った。
Au Bord d’Eau Fukuoka(オ・ボルドーフクオカ)
福岡県福岡市中央区西中洲6-8 1F&B1F
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