日本の西南に位置する沖縄県には「シーサー」と呼ばれる守り神がいます。動物のような置物を見たことがある人もいるでしょう。しかし、シーサーのことを詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
こちらの記事では、シーサーの基本情報から、細かい違いや見分け方まで紹介していきます!
シーサーとは
シーサーとはライオン、つまり獅子の姿をした像です。沖縄県の守り神・魔除けとして知られています。シーサーという呼び方は「獅子」を沖縄の発音にしたものだそうです。
シーサーの起源
シーサーの起源を辿ると、なんと紀元前のエジプトにまで遡ります!
古代エジプトのスフィンクスがシルクロードを経て、中国へ「獅子」として伝わりました。それが沖縄県に伝わったのは13〜15世紀、琉球王国が成立する前後のことです。
そのときの獅子は「ライオン」のことを指すものでしたが、当時のアジアにはライオンがいませんでした。そのため、伝わった情報から人々が想像し、解釈してできたものが、今日のシーサーなのです。
シーサーの意味
元々シーサーは沖縄県が琉球王国の頃、権威の象徴としての意味を持っていました。次第に魔除けや守り神という存在へと変わっていき、現在では幸せを呼ぶ存在や、沖縄観光の象徴としての意味も持っています。
シーサーの見た目
続いて、シーサーの外見について見ていきましょう。実はどれも同じではなく、とっても個性的なんですよ。
基本的な特徴
シーサーは大きな目が特徴的です。デザインによって、鋭く力強い目や丸く優しい目など、さまざまな表情を見せてくれます。
大きな口と尖った牙もシーサーのチャームポイントです。また、口の開閉で“とあること”を見分けることもできます……!
顔の周りには毛が生えており、三角形にまとまったものや、くるくるとした巻毛のものが主流です。
シーサーの種類
シーサーは大きく3種類に分けることができます。
1つ目は「宮獅子(みやじし)」です。
琉球王国に関するお城や神社などに設置され、魔除けよりも権威としての意味合いが強くなっています。左右で対になっているものが多く、沖縄にシーサーが伝わった初期のものです。
2つ目は「村落獅子(そんらくしし)」です。
村や町を守る目的で、集落の入口や高い場所に置かれています。1体で置かれることが多く、沖縄本島の南部に多いです。
3つ目は「家獅子(いえしし)」です。
明治時代から個人宅を守る目的で民間に普及したものです。置く場所によってさらに「屋敷獅子」「屋根獅子」「門獅子」などに分けられます。
特に門獅子は門の両脇の柱上に対で置かれることの多い、比較的新しいスタイルです。デザインや表情が個性的なものが多く、魔除けだけでなく家の入口を飾る置物としての意味も持っています。
シーサーの素材
宮獅子や村落獅子、屋敷獅子の多くは石で作られています。特に宮獅子は琉球王国時代に、優れた彫刻技術を使って作られています。中国から輸入したものという説と、王府直属の技術者が制作したものという説があります。
屋根獅子は「やむちん」という沖縄の焼き物や漆喰で作られることが多いです。漆喰製のシーサーは、屋根職人がサービスとして余った瓦のかけらと漆喰で作ったのが始まりだと言われています。
観光客向けのシーサー作り体験では、土や粘土で作ることも多いです。また、シーサーは素材を活かしているものが多いですが、お土産やシーサー作り体験ではカラフルな色付けがされていたり、好きな色を塗れたりもします。
オスとメスの見分け方
なんとシーサーには、ちゃんとオスとメスがいます!
2体1組のシーサーはオスとメスのペアであり、口をぱかっと開けている方がオス、きゅっと閉じている方がメスです! また、口の開閉で仏教の「阿吽(あうん)」を表しているとも言われています。
シーサーの居場所
沖縄県に欠かせない存在のシーサーは、県内のいろいろな場所にいます。
どこに行ったら会えるのか、またあなたの家にシーサーを迎えるとき、どこに置けば良いかも紹介します!
有名なシーサー
沖縄県の有名なシーサーは多くありますが、特に有名なのが、那覇国際通り商店街のシーサーです。
国際通りは沖縄県の県庁所在地であり、観光客向けの様々なお店が並んでいます。シーサーは国際通りの入口、通りの両側に配置されています。白いシーサーが乗っている台には「こくさいとおり」と書かれています。
日常のシーサー
シーサーは観光スポットのみならず、人々の生活の中にもいます。
個人宅を守るシーサー、家獅子は置く場所によって呼び方が変わります。「屋敷獅子」は敷地内のどこかに置かれているシーサー、「屋根獅子」は屋根の上、「門獅子」は玄関の門柱の上にいるシーサーのことです。沖縄の家に遊びに行くことがあれば、ぜひその家のシーサーも見ていってくださいね!
シーサーの置き方
シーサーの置き方に決まりはありませんが、守り神として置くときには、屋根の上や玄関などに多く置かれます。多くのシーサーは災いが来る方を向き、守りたいものを背中にしています。
台風や水害など厄災がやって来やすい方角に向ける、縁起の悪い方角に向ける、などがオススメです。
2体1組のシーサーは通常、正面から見て右側に口を開けたオス、左側に口を閉じたメスを置きます。
最近では机の上に置けるような小さなシーサーや、ストラップになっているシーサーもあるので、より気軽にシーサーを側に置けるようになっています。祈りや願いを込めることが大切ですね。
沖縄県にとってのシーサー
守り神として沖縄県と共に過ごしてきたシーサー。今日では幸せを運ぶ存在としての意味も強まっています。
この記事を読んで頂いた皆さんは、シーサー達と“かながなーとぅ”なれるかもしれませんね!
※かながなーとぅ――沖縄弁で「仲良く」の意味
この記事は大阪芸術大学の「教養演習」「コミックプロデュース論」を受講している学生により制作され、マンガデザイナーズラボの代表兼、同学の客員教授・吉良俊彦と講師・石井聡の監修のもと掲載しております。
ライター:文芸学科2年 仲上舞花さん
デザイン:デザイン学科2年 大野来斉さん
デザイン学科3年 大盛明夏さん
キャラクター造形学科3年 岳晟凱さん
デザイン学科2年 大島美海さん
キャラクター造形学科3年 近藤俊治さん
デザイン学科2年 藤本すみれさん